クラブ代表インタビュー
ともに成長し、
これから一
に歴史をつくりたい

自身もサッカーをプレーした経験から、若くして指導者へ転向した相本 涼太さん。今日に比べ“サッカースクール”という存在がメジャーでないうちから、あえてその道での経験を積み重ね、2024年に「スタンドアップフットボールアカデミー」を立ち上げました。スクール創設に至る経緯、今後に向けた思いに迫ります。
Interviewクラブ代表インタビュー

小学校5年生から始めたサッカー
- ―最初に、相本さんご自身のサッカー歴について教えてください。
- 私がサッカーを始めたのは小学校5年生の頃。実はサッカーが好きで…というよりも、当時習っていた空手の練習が厳しくて、どこか逃げ道を探していた時に出会ったスポーツでした(笑) ただ、幸いにも当時から身長が高くて、足も速かったので、身体能力を活かしたプレーでわりと順調にステップアップできて。Jリーグクラブの下部組織でもプレーしましたし、トレセンにも選ばれていました。
- ―いわゆる順風満帆だったところから、どのように指導者の道へシフトしていったのでしょうか?
- Jクラブの下部組織に上がった段階で、怪我にも悩まされてトップ昇格までには高い壁を感じるようになりました。いつしか「このままサッカーを続けてどこにゴールがあるんだろう」という気持ちになってしまい、今後の進路を考えるようになりました。
その時に、海外のストリートサッカーを目の当たりにして。裸足で新聞紙を丸めたボールを蹴っているような光景に、自分がいかに恵まれた環境でサッカーをしていたかというギャップに気づきました。恵まれていたのは私の方かもしれませんが、間違いなく彼らにはリバウンドメンタリティがある。サッカーを楽しむことや、サッカーを通して人生を豊かにしていくポテンシャルがあることに気づき、こういう気持ちを育む機会こそ、世の中に求められているのではないかと考えるようになったんです。 - ―それで“サッカーを教える”という立場に就くことを考えたんですね。
- 当時、サッカーをするというと小学校や学区ごとにつくられた少年団のイメージが強く、スクールでサッカーをやるという選択肢は一般的ではありませんでした。ただ、私の発想の原点がストリートサッカーにあったのもあり、年齢や性別、置かれている環境や住んでいる地域などを問わずに、みんなでサッカーを通して成長していく、単なる競技にとどまらず文化としてサッカーがある環境をつくれたらいいなと思って、スクールの創設を目指すようになりました。

失敗しても良いから、
大きな
を持ってほしい
- ―2024年に「スタンドアップフットボールアカデミー」を立ち上げられましたが、それまでにも指導者としての経験を積んできたのでしょうか?
- そうですね、立ち上げるまでに3つのクラブにお世話になり、現場での指導はもちろん、育成や強化の視点でクラブにコミットしてマネジメントしていく経験も積みました。そうした中で、自分から新しい組織を立ち上げていく、そこで歴史をつくっていく、といったことにチャレンジしたいと考え、2024年に今のスクールを創設しました。
- ―現在、スクールにはどのくらいの年齢の子供たちが通っているのでしょうか?
- 4歳から小学校6年生までの子供たちが通っています。性別も問わずに受け入れているので、女子でサッカーをしたい子たちも多く来てくれています。今は昔に比べてサッカーをプレーする環境も多様化していて、サッカー少年団だけでなくクラブチーム、Jリーグの下部組織も門戸を開いています。ただ、様々な事情でそこには通えない子もいますから、そういう子たちでも、志さえあればサッカーができる環境をつくりたいというのが私の願いです。
- ―指導する上ではどのようなことを大切にしていますか?
- 「誰にでも一番になれる可能性がある」ということはスクール生にもよく伝えています。
先ほど私自身はわりと順調にステップアップしていった話をしましたが、もちろん挫折もありました。それがなぜかを考えたときに、高いレベルに進んでいくための、あるいはプロになるための人間力に欠けていたなと。それで、うまくいかなかったときに逃げ出したくなったり、失敗に対してうまく対応できなかったり。壁にぶつかった経験を、うまく成功や成長に繋げることができませんでした。
だからこそ私を反面教師として、スクールのみんなには壁を越えていってほしい。失敗してもいい、うまくいかなくてもいいから、大きな夢を持って、やるなら一番をめざしてほしい。そのマインドでサッカーをすれば、必ず成長できるし、人間力も付いてくる。そういったことを熱量を持って伝えていきたいと考えています。 - ―スクールのホームページには「共育(きょういく)」という言葉も書かれていました。
- 指導をするうえで教わる方だけが成長するかというと、そうではないと考えています。指導者もまた、スクール生の存在があってこそ成長するからです。
だからこそ、私は年齢や立場関係なく、人として接するように心掛けていますし、自分の考えだけで指導したり、押し付けたりといったことはしないようにしています。そうやってオープンなマインドで子供たちと接していると、自然と各々の人間性やパーソナルな部分が見えてくるんです。その見えてきたものに寄り添って、うまいかどうかとか、サッカー歴が長いかどうかとか、そういう軸ではないところで指導にあたりたいと考えています。

人生にサッカーがあったことを
価値にしてほしい
- ―相本さん自身は、どんなことにゴールを置いてスクール指導を続けていますか?
- サッカーを通して成長してもらうことです。「サッカースクール」という位置づけではありながら、 “人としての成長”という大前提があって、スポーツはそのきっかけに過ぎません。
ですからスクールでも、挨拶だったりマナーだったりを大事にしていますし、サッカーが上手ければあとはどっちでもいいという態度は取らないようにしています。
もちろん将来的にサッカー選手になれたら素晴らしいことですが、それが全てではありません。私自身もそうですが、サッカーを通じて出会いがあったり、人生にサッカーがあったことが自立するきっかけになったり。そういうことこそ、スポーツをやった経験の価値ではないかと思っています。
個人的には、スクール生が大きくなった時にも、気軽に挨拶してくれたり、近況を話してくれたりしたら、それが一番ですね。 - ―指導者としての年月を重ねる中で、感じていることはありますか?
- 成長には限界も、上限も無いということです。それは必ずしも教わる側だけではなく、教える側、つまり私たち指導者も一緒です。サッカーの世界ではよくロジェ・ルメール氏(元フランス代表監督)の「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」という言葉が引用されますが、本当にその通りなんですよね。
自分も相手の考えや思いを尊重しながら、互いに成長して、未来ある子供たちに育成のバトンを繋いでいけたらと思っています。 - ―最後に、これから「スタンドアップフットボールアカデミー」に通われる方へメッセージをお願いします!
- まずはちょっとでも興味があれば、ぜひ来てみてほしいです。サッカーがうまくなりたい子、これから始める子、どちらも大歓迎。教えるスタイルも個々のレベルやニーズに合わせて、グループだけでなくパーソナル指導も受け付けています。明日どこでサッカーしようかな、って考えているくらいなら、ここでぜひ一緒にボールを蹴りましょう!
そして「スタンドアップフットボールアカデミー」の歴史を一緒につくっていきたい。まだまだ若いスクールですが、これから集まる子どもたちや保護者のみなさまと一緒になって、ひとつずつ実績をつくっていきたいですね。


相本 涼太
RYOTA AIMOTO兵庫県出身
選手として各年代の選抜チームやヴィッセル神戸下部組織など様々なチームでのプレーを経験。
現役選手を引退後は、幼児~中学生年代の選手を15年間で2,000人以上指導。
自身の経験を惜しみなく伝え、サッカーを楽しみながら成長していくことを念頭に現場に携わる。
現在はクラブ代表として、サッカーを通じた人間形成への確立や人としても成長できる環境作りにも尽力している。
2023年度には小学生年代の世界大会 【ジュニアサッカーワールドチャレンジ】の国内選抜チームコーチも務めるなど、育成年代の指導経験豊富な育成のスペシャリスト。